はてな匿名ダイアリーがAI生成文章だらけになっている事象について、ホットエントリーでも言及がチラホラみられるようになりました。
定点観測をしていた身として、このサイトがどう変化をしていたか、記録として残しておこうと思います。また私がどんな方法で観測していたかを種明かしし、誰かの参考となることを願います。
あなたは誰ですか
はてな匿名ダイアリーを年間数千件ブクマしている人間です。
2024年では1stでブクマした236件分がはてブのホットエントリーに送られています。
これは1年間でホットエントリーに出てくる匿名ダイアリーのエントリのうち、8.6%はffrogが見つけてきている、ということです。
……正直伝わりづらい。暇人ということで。
変化の兆候について
長くしても読むのがつらいので、以下3ステップくらいでざっくり書いておきます。
今日に至るまで、23年の生成AI台頭から2年ほどかけ、増田はAIに浸食されています。
① 2022年末~2023年 :生成AIがまともな会話をし始める
② 2023年~2024年 「AIに増田を書かせる」人達が現れる
③ 2024年~2025年 分断煽り・通常投稿にAIが用いられ、投稿頻度が加速
① 2022年末~2023年 :生成AIがまともな会話をし始める
2023年からチャットAIが本格化しはじめましたね。GPT3、Bard、Bing AIの時期です。この時期のAIは、会話はできるが記憶は続かず、情報もまともに拾ってこれず、まだポンコツ扱いされていた時期と記憶しています。
過去のブクマを見直してみましたが、なぜかBing AIに当たりの強い日記が数多く残っていました。皆あの言動にはイライラしていたのでしょうか。自分はしてました。
② 2023年~2024年 「AIに増田を書かせる」人達が現れる
2023年4月に、はてラボで「Anond AI」がリリースされました。
皮肉にもAIに日記を書かせる試みは、はてなが先行しています。
実際に書かせると、増田にも劣らない情緒不安定な作文が可能な代物です。
2024年時点で、Anond AIに書かせたエントリがホットエントリーに登場しています。(既に削除済み、魚拓でのみ確認可能)
もちろん、ChatGPTなどにAIに増田を書かせる流れもあり、密かな流行りをみせていました。
初期の頃、変な文章を書かせるためのプロンプトには鉄則があって、
必ず文章を命令形にしてAIに対してストレス(?)をかけるということだった。
日記に限らず、表現技法としての生成AIに目を向けたエントリも多く存在します。
③ 2024年~2025年 分断煽り・通常投稿にAIが用いられ、投稿が加速
そうして今に至ります。
こう書くと ③の時期から憎悪や嫉妬が生えてきたのかな? とも思われていそうですが、安心ください。それらは時期に限らず常に足元に転がっていて、こちらを黒い目で見つめています。
問題はAIによって、その悪意がそれなりの文章を着るようになった事、そしてバリエーション豊かに投稿されるようになったこと、と個人的には思います。
大量の釣りエントリを投稿していた「公務員増田」(もちろん自称)も
今年になってAI使用を明らかにしています。Gemini利用とのこと。
公務員増田については以下を参照。
釣りを含む創作に限れば、許容される範疇と思っていますが、
実際には増田上では自演や分断煽りが横行しています。
また嫌がらせの部類では、個人が丹精込めて書いたであろう文章に対して
AIの回答を投げつける遊び(?)も盛り上がりを見せており、これも加速すると考えています。(「話など聞いてやるものか、AIにでも聞いとけよ」という無慈悲さを感じる。広義的には「チラ裏に書いとけ」と同類かもしれない……)
その他、同じフォーマットの文章が何十個も投稿されるだとか、ごく自然にイヤホンの嘘レビューが投稿されるだとか、動機もよくわからないAI製の日記が日々供給されています。
「動機もよくわからない」と書いたところでふと思いましたが、
そもそも増田にはその類の文章が明らかに多いです。
これまではそれらを意識的に除外できたかもしれません。
でも今後はAIによってまともな文体を獲得していくので、
知らず知らずのうちに狂気を摂取する羽目になります。
各自、慎重に読まれたほうがいいかと思います。
ここまで悲観的なお話でしたが、AI製の目的不明な文章が無限に溢れる環境というのもカオスで悪くないと思っています。
「誰であろうと、人間の文章が読みたかった」という感情もゼロではありませんが、そもそも、匿名日記は誰が書こうが中身が変わらないはず。それが猫であろうが、幽霊であろうが、AIであろうが、受け取り方は同じでいい、個人的にはそう思っています。今の環境も、いずれ受け入れられていくと見込んでいます。
最後に、面白い文章をどう探したらいいか?のお話をして終わりにしておきます。以下の図は、これまで自分が増田を見つける上で使っていたシステムの例です。

増田の全文RSSをGoogleSpreadSheet上のGASで定期的に取得し、
取得した内容から、本文の文字数(800超)と内容が悲しいものではないか、で選別。
エントリが選別されると、自動的にスマホへ通知するという仕組みを使っていました。大層なものではありませんが、RSSのみで収集が完結するのはかなりストレスフリーでした。また、これがあるので実は増田をPCで読む習慣はありません。
それと、正直に言ってしまうと、数年前までは文字数800超、かつ読んでいて悲しくない内容であれば総じてホットエントリー行きになっていました。なぜなら、当時 文章量は熱意や呪詛を担保しており、読ませる力があったからです。
しかし、現在はこれは使い物になりません。これを動かしてもスパムとAI製の作文がスマホにポンポン送られるだけです。スパムにChatGPTのトークンを消費させられる気分の悪さといったら……
また近頃、"お気持ち長文"という言葉を聞きませんが、これも長文=熱意があるもの・呪詛の込められたもの という定義が生成AIによって解体されつつあるからではないかと感じています。もはや長文は、文章の質を担保していません。
ということで、誰か読み応えのあるエントリの見つけ方があれば教えてください!
書き手が実験するように、読み手も実験していき、良いエントリを見つけていくしかない。
増田は今、そんなフェーズにあると思います。




